小名浜地区の津波で流された写真の返還
3月11日を境に、生活が一変し、何一つなくなってしまった方たちにとって、2度と手にすることのできない想い出のもの・・・。
それは、想い出の写真です。
市の職員の提案で、写真を泥の中から拾い集め、ボランティアの手により、2が月あまりの時間をかけて、展示することとなりました。
期間は、6月3日から、8月末まで。
その写真を持ち主に返したいという願いを込めて、こんな長期間、開催されるのです。
その作業は大変なことであっただろうと想像します。
この日、写真展に最初に訪れた方が、「この人知ってる!」と声をあげられたときは、持ち主に写真を必ずお返しするということを現実的に実現する一歩であり、必ず手元に戻るだとうと確信していました。
初日ということもあり、各方面からマスコミの取材も集まっていました。
テレビでも放映されたそうです。
(ここ、日立では見れませんでした)
感動のシーンは、その日の終了時間間際に訪れました。
この写真展示を知人から聴かれたご本人が、来られたのです。
この方は、80歳代くらいの年代の方でした。
一度、ご自宅に戻り、想い出の品を探しておられたそうです。
でも、津波の被害に遭われたご自宅には、そういった品はすでに流されてなっており、
避難所でも、そういった品が届けられておらず、
「もう、流されたんだ」と、新しい仮住まいに引っ越しをされていたそうです。
その展示会場には、
7年前に亡くされたご主人の写真、息子さんの学生時代の写真、お嫁さんの写真など、
150枚以上の写真がありました。
ひとつずつの写真を一緒に見て回りながら、
「あれも、これも」
と目に涙を浮かべながら、感激しておられました。
また、他にも、知人に渡すとのことで、持ち帰ってくださった方もおり、開催期間中には必ず、みなさんの手に戻っていくだろうと想像しました。
ここに行ったチーム内では、
写真が手元に持ってくることによって、元気を取り戻し、生きる糧になれば幸いだと話し合っていました。
ここには、写真のみならず、靴やぬいぐるみ、トロフィーなども置いてありました。
また、警察関係からは、泥のなかから出てきた貴重品のリストなどもありました。
その展示場にあったすべてのものが返還され、すべてを無くされた方にとっての一瞬でも喜びになることを祈りつつ、作業を終えることができました。