奈良・興福寺の五重の塔から思いを寄せる

大阪教区から京都教区へバトンタッチ

今日から12月、聖テモテボランティアセンターの担当は大阪教区から京都教区へ無事にバトンタッチすることができました。

震災、津波、そして原発事故以来、避難された方々が仮設住宅に入居されるまでには仕事のことや学校のことなど、さまざまな事情で何度か避難場所を変えながら移ってこられた方々がほとんどです。
多くは福島県内の避難所から移ってこられた方々、または関東近辺の親戚宅に一時避難されておられた方々ですが、中には遠く西日本まで避難されておられた方々もおられます。
今日もいつものように仮設住宅を巡回しながら住民の方々にお声かけをしたりしていましたが、偶然にも関西に避難されておられた方に出会いました。
80歳になられるSさんという女性の方で、つい先日まで8カ月に亘って孫のいる奈良に避難されておられたとのこと。
福島から見れば外国に行くぐらい遠いところ、孫がいるとはいえ、知人もおらず地理もわからない中を昼間は毎日一人で散歩にでかけ、猿沢池畔のベンチに腰かけながら興福寺の五重の塔をながめ、無理とはわかっていながら”あのてっぺんに登ればもしかしたら故郷まで見えるかもしれない”と想いをめぐらせていたとのこと。
きっと私たちが想像する以上の複雑な思いが心の中を巡っていたんだろうと想像されます。
それでも今日のちょっとした会話の中で私たちが喋る関西弁、そして関西のことをなつかしく思い、明るくて弾んだお話をすることができました。
 どんなことでもいい、どんなたわいのない話でもいい、ごくありふれた日常の中に少しでも気持ちを緩ませてふれあえる時間の大切さを痛感した一日でした。

富岡町職員と共に荷物積み
富岡町の方々からいただいたカンバッチ。
奈良から仮設住宅に戻られたお宅で話に花が咲きました。